前作の教訓を活かし、発売日に購入。
メタスピードエッジ東京(METASPEED EDGE TOKYO) について
『メタスピードエッジ東京』はアシックスのフラグシップレーシングシューズ。『東京2025 世界陸上』の開催に向けて発売された4作品目のシューズとなる。今作も恒例の2種類展開となり、ストライド走法向けの『スカイ』とピッチ走法向けの『エッジ』が発売されている。前作は『エッジ』が大人気となり、今作も発売開始時点のオンラインストアでは『エッジ』が圧倒的な売り切れを見せていたが、前作から何が変わったのか?本当にピッチ走法向けなのか?チェックしていく。

シューズ外観
側面
アッパーは『モーションラップアッパー 3.0』を採用。靴下が透けるくらい薄く通気性も高いのに破け難い技術の塊。そして『TOKYO』のロゴがあしらわれ、特別感の演出も忘れない。カラーリングはレッドを基調とした配色、レーシング感が増して個人的に好き。


背面
軽量化を重視し反射材などの装飾なし。今作は踵周辺にミッドソールが張り出しており、安定感向上を狙った作りだと窺える。(アルファフライ3を真似た?構造)

靴底
アウトソール材は『ASICS GRIP』を採用。強力なグリップ力で定評があり、雨など路面の影響を受けずパワーロスなく前に推進力を活かせる。

重量
28cm/167g
非常に軽い。前作も軽さで驚いたが、それを上回るパワーアップをこの1年で実現するアシックスの底力が半端ない。軽量化戦国時代の最前線に立つシューズ。

シューズ名 (28cm) | メタスピード エッジ東京 | メタスピード エッジパリ | ヴェイパーフライ4 | アディオスプロ4 |
重量 (実測値) | 167g | 190g | 186g | 211g |
価格
定価:29,700円(税込)
前作より2,200円値上げ。だが、単純な値上げではなく、しっかりと性能をアップデートさせた上での値上げとなるため納得できる。最近は各社3万円を超えない価格帯で軽量化を実現する戦いにシフトし始めている。
シューズ名 | メタスピード エッジ東京 | メタスピード エッジパリ | ヴェイパーフライ4 | アディオスプロ4 |
定価 (税込) | 29,700円 | 27,500円 | 29,700円 | 28,600円 |
サイズ感
ハーフサイズアップがオススメ。
普段のジョグシューズは27.5cmであるが、レースシューズはハーフサイズアップが恒例になっている。
♦︎参考:他購入済みシューズサイズ
ノヴァブラスト4&5→27.5cm
ゲルニンバス26&27→27.5cm
メタスピードパリ→28.0cm
アルファフライ3→28.0cm
ファーストインプレッション
前足部柔らかっ!新素材の『FF Leap』凄いな。前作より分厚くなった感覚があるのに、軽くなってるってどういうこと。走り出すと前足部に集中した『FF Leap』が潰れて、自然と足が前に出る。ピッチ走法向けらしい足離れの良いシューズに仕上がってるな!っというのが初感。
前作からちゃんと進化しているというか、もはや別物のシューズに仕上がっててワロタ。前作は硬めのミッドソールが潰れにくく反発レスポンスが早く、ピッチを上げて走れるシューズであった。今作はクッション材が潰れて体重が前に倒れ込むことで進んでいくシューズに変わっている。ピッチを上げて走るという目的において同じ結果となるが、アシックスの答えの出し方が明らかに変わった。これは選り好みが別れる予感がする。

クッション性能について

MAXレベル。
ミッドソール材はスプーン形状で搭載されたカーボンプレートを境目として、上部は柔らかい『FF Leap』。下部は硬めの『FF Turbo+』になっている。反発力は従来素材の『FF Turbo+』で十分に感じていたが、今回の新素材『FF Leap』でさらに強化された。シューズの反発力は強くなるほどエリート向けになり、扱いにくく感じてしまうものであるが『FF Leap』は柔らかく体重をかけるだけで潰れるため、体重の軽い人や蹴る力が弱いピッチ走法向けの方が、楽に長く足を回転させ続けることができるシューズに生まれ変わった。ただ、簡単に潰れる素材であるため安定感は低い。ロング走を行う場合は、姿勢が崩れない体幹の強さが必要になる。

【徹底解剖】シューズの特徴
前傾姿勢を強制させるミッドソール構造
柔らかい『FF Leap』が前足部に集中されたことで、体重を前方向にかけると『FF Leap』が潰れ、勝手に足が送り出される。そのためミッドソールを潰すための脚力が最低限で良く、省エネで長距離を走れる。ちなみにロッカー構造のようにカクッと倒れ込む感覚とは違い、違和感なく自然に足が前に進む。またカーボンプレートがスプーン形状で搭載されているため、体重移動を邪魔せず推進力をスムーズに前へ運び、反発における助力を存分に享受することができる。

フィット感に影響のない軽量化
前作より23g軽量化(28cm実測比)するため、くるぶし周りのクッション材が削減された。素肌が直接触れる部分であるため、フィット感に影響が出ないか心配していたが杞憂に終わった。足が抜けやすいなどのトラブルもなく素晴らしい仕上がりになっている。さすがアシックス。

気になる点
溜める時間がない
ストライド走法であり、3分30秒/km以上で走る方は『スカイ』の購入がオススメ。クッション材が勝手に潰れ足が押し出されるため、ストライドを伸ばす溜め時間を作ることができない。特にペースが上がった際に顕著なため、公式の声明通り『スカイ』を選ぶことをオススメする。

ペースコントロールは難しくなった
前作に比べ、ペースコントロールが難しくなった。前作は出力を抑えることでペースコントロールが自由自在に行える懐の広さがあった。反面、今作の『FF Leap』は非常に柔らかく体重をかけるだけで潰れるため、出力と反発力を抑える力が比例せずペースコントロールが難しくなった。最後まで一定以上(4分/km)の出力が行えるエリートランナー向けシューズに生まれ変わった。

TOKYOマークがプリントではなく貼り付け
軽量化のために、アシックスを象徴するストライプはアッパーへ染み込みプリントされているが、TOKYOのロゴは貼り付けで表現されている。重量にはほぼ影響がないと思うが、表現方法を変えていること自体が気になった。出荷する国によっては、TOKYOロゴなしで発売されているのかな…?

メタスピードエッジ東京がオススメな人
個人的には購入でき満足しています。ただ、ペースが上がった際ストライド走法になる私は5キロ以内は他のシューズを使う。
オススメする人
・ピッチ走法の人
・アシックスのフラグシップシューズを試してみたい人
オススメしない人
・ストライド走法かつ3分30秒/kmで走る人
・4分30秒/km以上で走る人 (扱いにくく疲れるため)
・腰(硬度)のあるミッドソールが好みの人
まとめ
総括:前傾姿勢強制シューズ
遅いペースでは出力を下げて楽に巡航。早いペースでは足の送り出しが早まり強制ピッチ走法。っといった具合にペースによってシューズの特性が明確に変わるのは面白い。サブ3.5ペースでも使えるが、ペースを上げたくなる自制心を抑え、安定感の低い柔らかなミッドソールを体幹で維持させ続けるのはかなり疲れる。ただ、ハイペースで新作が発売されたため、次作は少し期間が開くのではないか?と推測。そのため欲しいカラーが出たタイミングでモチベを上げるために、未来のレースシューズを確保しておくのはありだと思う。
スカイのレビューも気になる方はこちら
購入先リンク

【おまけ】前作と比較
全体像
手前の黄色が前作の『メタスピードエッジパリ』。外見からわかる変更点を列挙していく。

アッパー
モーションラップアッパー 2.0から3.0にアップデート。より目が細かく、親指周辺の補強もなくなった。

ミッドソール
踵部の反り上がりがなくなりフラットに。

アウトソール
『ASICS GRIP』に変更はなく、形状のみ変化あり。また踵部にあったロゴはなくなった。


履き口
くるぶし周りのクッション材がなくなった。
