【レビュー】アディダス タクミセン10 尖りすぎのやべーシューズ

-シューズ-

先日『ストリークフライ』を購入し見送った『タクミセン10』。試し履きでは硬く感じたが、実際走るとどうなるのか気になり、検討に検討を重ね検討を加速させた結果、結局購入レビュー。

アディゼロタクミセン について

アディゼロシリーズは「日本人を速くする」という目標の下、開発が始められたシリーズ。その中でタクミセンは「日本伝統の靴作り技術()を投入」というニュアンスで命名されており、軽量で接地感の高いシューズとして売り出している。このタクミセン人気の火付け役になったのは2023年の大阪マラソンで見事優勝した國學院大學の平林選手が履いていたことであろう。初マラソンというカテゴリーで日本新記録を達成。なのに昨今流行りの厚底シューズではない!?というフレーズで話題となった。この素晴らしい功績を支えたタクミセンがどのようなシューズなのか解説していく。
※平林選手が履いていたのは『タクミセン9』という1つ前のモデルです

シューズ外観

側面

カラーは「アディダス 2024 アスリートパック」を選択。(オリンピックカラーというやつですね)デザインテーマは「炎の揺らめき」になっており、ミッドソールの配色がスポーツへの情熱を炎で表現してるようです(カッコイイ)。アディダスって他メーカーと違い、豊富なカラーラインナップを揃えてくれるので良いですよね。ただ他シリーズと配色が似ており、パッと見でシューズを見分けることが難しい。この『タクミセン10』も厚底で有名な『アディオスPRO3』と見間違えるくらいに似ている。

背面

賛否の分かれる折りたたみ式プルストラップ。個人的には活用していないため、あってもなくてもどちらでも…。っといった感じ。

靴底

アディダスのアウトソール材としてお馴染みの『コンチネンタルラバー』をビッシリと採用。アディダスとコンチネンタルはドイツの会社であるため仲が良いのかな?(プーマもドイツなんですけどね…。)

参考:アディダスとコンチネンタルのパートナーシップについて

重量

28cm/207g
流石フラグシップに位置するレースシューズ。28cmで200g台は非常に軽い。ボリュームサイズ(27cm前後)は200gを切ると思われる。

価格とサイズ感

定価:22,000円(税込)
フラグシップシューズとしてはお安い価格設定。厚底の『アディオスPRO3』が26,400円であるため、中底シューズとして棲み分けしてきている価格感。

サイズ感:ハーフサイズアップがオススメ
アディダスはシリーズによりサイズ感のバラツキが激しいため、店頭で試着後に購入することをオススメする。
♦️参考:他シューズサイズ
ボストン12→27.0cm
ゲルニンバス26→27.5cm
アディオスPRO3→27.5cm
ヴェイパーフライ3→28cm

ファーストインプレッション

んー。硬いなー。流石は接地感を売りにしているだけはある。『Lightstrike Pro』って柔らかいイメージだったけど、こんなに変わるものなのね。走り出しても硬さは変わらずだなー(4分45秒ペース)。
っというのが初感。この初感は履き慣らしのジョグ時点であり「購入したの失敗したかなー」と思いながら、スピード練習(インターバル)を始めた途端シューズが豹変した。1キロ3分40秒で走り出すとストライドが自然に伸び、足の回転を助けてくれる助力が素晴らしい。またシューズが遅れてくる感覚は一切なく、シューズにとって心地良いペースで走れていると感じられる。逆に4分以上のペースであると『ENERGYRODS』を踏み潰すことができず硬さを感じる。『タクミセン10』を活かすには「キロ3分台で走れ」とシューズが言ってくる

【徹底解剖】シューズの特徴

タクミセン10の特徴は『ミッドソール』『軽量性』『グリップ力』。

ミッドソール

ミッドソール材はフルレングスで『Lightstrike Pro』を採用。厚みは33mmと昨今の厚底シューズ規定40mmから比べると控えめなボリューム感。またミッドソール内にはアディダス特有の5本指形状に沿った『ENERGYRODS』(グラスファイバー製)を搭載しシューズの剛性アップに貢献。履けばわかる接地感を売りにしている硬さを実感

33mmと記載あり
靴底からENERGYRODSが見える

軽量性

28cmで207gと非常に軽い。軽量性に貢献しているのは『エンジニアードメッシュアッパー』という目の荒いアッパー素材に加え、ミッドソールの小指部分まで切り落とす大胆な軽量化が主な要因であろう。ピッチ走法の方も安心して履きこなすことが出来る軽さに圧巻。

手が透けて見えるくらいにスケスケ
大胆に削り落とされた小指部分

グリップ力

コンチネンタルラバーが素晴らしい。始めて体感したが、これはいいですね。『ASICSGRIP』以来の感動があった。自宅で少し歩いただけで、これだけの埃を掴んできた…。雨のレースも安心して挑めるグリップ力がある。

クッション性能について

LOWレベル。『Lightstrike Pro』は柔らかいイメージであったが、『ENERGYRODS』を搭載することで硬い仕上がりになっている。
他シューズとの比較は↓を参考に。

気になる点

踵のフィット感が微妙

踵をホールドするクッション材が軽量化のために損なわれている。特に歩いた時に顕著であるが、早いペースで走っていると感じない。おそらくシューズ全体でフィット感を出すのではなく、足の甲で固めてきている。

タクミセン10がオススメな人

個人的に尖ったシューズで面白い経験をさせて貰えたが、サブ3を目指すレベルの私ではオーバースペックなシューズであった。3分台でのトレーニングを頻繁に行うシリアスランナーにオススメできるシューズ。

適正ペース

1キロ3分台

オススメする人

・自分の足で走る接地感が好みな人
・1キロ3分台で走れる人

オススメしない人

・クッション力のある柔らかいシューズが好みの人
・1キロ4分以上のペースで走る人

まとめ

総括:キロ3分台で走れと言ってくるヤベー奴
キロ3分台でのペースが心地良く、私は3分台以外で履く予定はない。ただ、この良さを試し履きで実感するのが難しい点が非常に惜しいシューズ(店内を時速16キロ以上で走れるお店があれば別ですが…笑)。履き慣らしのジョグ時点では硬さにしか目がいかず「購入失敗したかなー」と思っていたが、インターバルを始めてみるとあまりに尖ったシューズで笑みが溢れた。色々とシューズを購入しているつもりであるが、ここまで尖ったシューズに出会ったのは始めてかもしれない。

購入先リンク

【おまけ】他シューズ比較

ストリークフライ VS タクミセン10

スピード練習を1足で完結させたい人:ストリークフライ
スピード練習は3分台でしか走らない人:タクミセン10

が良いと感じた。
ストリークフライは『ZoomX』が柔らかく、どのペースでも万能にこなせる。ただし、3分台ペース維持はタクミセン10の方がプレートによる助力でスピード維持が行いやすい。反面、タクミセン10で4分以上ペースで走ると足当たりが硬く感じるため、1足で万能にこなしたい方はストリークフライが良いと思う。3分台での利用想定の方は、タクミセン10を購入した方が幸せになれる。

アディゼロジャパン8(試履)VS タクミセン10

アディゼロジャパン8は購入しておらず試し履きのみですが、迷われる方がいると思うため記載。
1キロ4分以上:アディゼロジャパン8
1キロ3分台:タクミセン10

の使い分けが良いと感じた。
アディゼロジャパン8はプレート未搭載であり、前足部の『Lightstrike Pro』が非常に柔らかい。だが、前足部以外は『Lightstrike 2.0』が採用されており薄底のような足当たりに。プレートが未搭載であるため早いペースでなくともスピードコントロールが行いやすく履きやすいと感じた。

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