最近のシューズ高すぎだろ!という状況について考察してみた。
ランニングシューズの高額化について
個人的には賛成。もちろん安価に購入したいが、昨今転売ヤーの脅威が凄すぎるので転売ヤーにお金を払うくらいであれば、メーカーにお金が入って欲しいというのが理由。

なぜ定価が高いと転売ヤーにお金が入らないの?
消費者が販売価格についていけず売れ行きが悪く在庫が残る。在庫が残る=転売ヤーから購入する必要がない。という構図が出来上がる。定価で売れ残っているシューズを定価以上の価格設定がされたフリマサイトで好き好んで購入する人は多くないだろう。加えてこの方法は偽物撲滅にも有効的であると言える。

参考例:アルファフライ3
ナイキのフラグシップシューズは手に入らないことで有名であったが『アルファフライ3』は3.9万円という高額なことに加え、他メーカーのシューズ高性能化によりいつでも購入できる状況に落ち着いた。結果として、現在フリマサイトでは未使用品でも3万円前後で取引されている。この3万円という価格が市場で馬鹿売れする価格設定。
売れ残った結果、販売店で値引きクーポンやセールの対象となり、発売当初以降に定価で購入した人は少ないだろう。

高額化の方向性は正しいのか?
いいえ。見合わない価格はブランドの毀損に繋がる。成立させるには品薄商法か強力なブランディングが必要になる。
前提としてシューズという消耗品に対して、前向きに4万円を支払うのは厳しい。そして価格に納得できない消費者が購入を諦め在庫が余ることで、人気のないシューズという不名誉なレッテルを貼られてしまう。心理現象からも、手に入らないものほど価値があると考える(希少性の原理)。そのため高額な商品が初動から売れ残ってしまうと「安くなるまで待った俺の判断は正しかったんだ」と消費者の行動を正当化させることに繋がる。結果、商品の良し悪しに関係なく売れ残りセールが加速し「あのメーカーは妥当な価格で販売しない」というブランドの毀損に繋がる。この流れを回避するには、下記方法が有効的と考える。

品薄商法
購入者が少ない状況でも在庫切れを発生させる方法。手に入らないことで希少性の原理が働き、高額な金額を払ったのだから良い物だと肯定してしまう(サンクコスト効果)。このダブルパンチで高額化を正当化させやすくなる。

強力なブランディング
世界記録連発しまくりです!履けば絶対記録出ます!8万円するけどネ。というどこかのEVO1が該当。「高いけど欲しい!」と思わせることのできる強力なブランディングがあれば話は別。それでも高すぎて市民ランナーには手が出せず、記録向上に並々ならぬ意識を持った選手しか手に取らなかった印象。これが他シューズより少し高額くらいであればもっと売れていただろう。(原価の兼ね合いで実現できないと思われますが…)

じゃあいくらなら正解なの?
34,980円が上限であると考える。それを超えた場合、手に取る消費者が一気に減る。
現在のランニング市場は各メーカーフラグシップシューズを2足出すのが基本になってきている。
①記録更新を狙った尖ったシューズ(フォアフット向けになりがち)
②走法にこだわらない誰でも履ける万能シューズ
の2パターン。

①記録更新を狙った尖ったシューズ(フォアフット向けになりがち)
このパターンは高額化になりがちであり、実際に4万円近いシューズはこちらに属している。新記録は自社のシューズで出して欲しい!というメーカーの気合い(コスト)と尖った特徴の入った商品。

②走法にこだわらない誰でも履ける万能シューズ
このパターンは①に比べて安価であり、3万円弱で各社顔色を合わせたように価格統一を図ってきている。というより3万円以内で販売できることをターゲットに商品開発が進められていると考える。

つまり
各社フラグシップシューズを2足出してきているが、消費者のイメージ価格帯は②のパターン。そのため3万円を大きくかけ離れた金額で発売された時、手に取らないという選択を選ぶ人が増える。では、それほどかけ離れない金額帯は?と考えた時、5千円アップくらいが上限であると考える。
逆に転売や偽物防止が目的であれば、3.5万円以上の価格設定が必要になるだろう。消費者が「このシューズ定価でも高い!」と思わせる価格帯でなければ成立しない。

今後の価格帯予測
上下に大きくブレない現在価格が維持される。
極度な高額化が許されるのは高度な技術革新が起きた時。現在の高額化を実現させたのはナイキのヴェイパーフライ。高くても買いたいと思わせるシューズを発売できたメーカーが天晴れということ。現在は性能を維持させつつ、軽量化させる時代に突入してきている。性能が大幅に上がらず軽量化しただけで高額化が成立しないのはEVO1が証明してくれた。つまり軽量化以外の技術革新が起きた時、またシューズの価格帯は大幅に値上がりするだろう。※急激なインフレが来た場合を除く

まとめ
総括:エリートランナーの人口以上に売れ続けるフラグシップシューズにメーカーは笑いが止まらない。
定価4万円で販売しているシューズが店頭で1万円近く値引きされて売られているんですから、利益率の高さにメーカーは有頂天に違いない。でも仕方ない。フラグシップシューズって試したくなる。車みたいに大衆車と高級車で大きな値幅があれば諦めもつきますが、手に届く金額帯なのがいけない。今後もメーカーの掌で踊り狂う所存。