後継品発売前の季節外れレビュー始まるよ!
マジックスピード(MAGIC SPEED)について
「カーボンプレートにチャレンジしたいランナーにおすすめ」が公式キャッチフレーズのシューズ。その名の通り、ジョグシューズとフラグシップシューズの間を狙ったシューズ。サブ3前後まではレースシューズとして、よりレベルの高いランナーにはフラグシップシューズの練習用として発売。他社で例えると『ナイキのズームフライ』や『プーマのディヴィエイトニトロ』に該当するレンジ。アシックスには『メタスピード』というハイレベルなフラグシップシューズがあるが、本当に練習用として使えるのか?他社に比べてオススメできるのか?チェックしていく。

シューズ外観
側面
アッパーは『エンジニアードメッシュ』を採用。足当たりが優しく長時間履いてもトラブルが起きにくい優しい素材。前作は『モーションラップアッパー』と呼ばれるフラグシップモデル同等の伸縮性がない素材を使用していたことから、今作はジョグシューズよりのチューニングに。


背面
軽量性重視で反射材やプルストラップなどの装飾なし。

靴底
アウトソール材はグリップ力で評判の良い『Asics Grip』を採用。

重量
28cm/249g
このサイズでプレート入りにも関わらず250g切りは嬉しい。重量もコンセプト通り、ジョグシューズとフラグシップシューズの間を狙った立ち位置に。

価格
定価:18,700円(税込)
エントリーカーボンシューズの平均的な価格。昨今、物価高続きであるが2万円を切ってくれると手に取りやすいと感じてしまう。(叩き売りされているお話はおまけで記載)
| シューズ名 | マジック スピード4 | マジック スピード3 | ズームフライ6 | ディヴィエイト ニトロ 3 |
| 価格 (税込) | 18,700円 | 16,500円 | 18,700円 | 22,000円 |
サイズ感
ハーフサイズアップがオススメ。
アシックスのジョグシューズは27.5cmを購入するが、カーボンシューズはハーフサイズアップが恒例になっている。
♦︎参考:他購入済みシューズサイズ
ノヴァブラスト4&5→27.5cm
ゲルニンバス26&27→27.5cm
メタスピードパリ&東京→28.0cm
ファーストインプレッション
硬っ!ミッドソールが分厚いから、もう少し柔らかいのかと思ってたけど結構硬めなのね。でも前足部で着地すると少し柔らかさを感じる。期待していなかった、ちょこっと『FF Turbo』が思ってた以上に実感できるな。っというのが初感。
ミッドソールの厚みに対して、沈み込み量が少なく驚いた。そのため足への優しさよりも、スピード重視のシューズに。レスポンスが早く、足がよく回る。すなわちピッチ走法向けに仕上がっており、メタスピードエッジパリの練習用として文句なしのシューズ性能。

クッション性能について

HIGHレベル
硬いミッドソールのためMEDIUMと迷ったが、実測値50mmの分厚さは伊達じゃなく、地面を感じられない厚みがあるためHIGHレベルに。ミッドソール全体で使われている『FF BLAST+』で着地すると硬く感じられるが、前足部に搭載されたちょこっと『FF Turbo』で着地と蹴り出しを器用に行うことができれば、少しは優しさを感じられる。ただひとつ言えることは、足への優しさを求めるシューズではなく、スピードを出すためのシューズということ。

【徹底解剖】シューズの特徴
ドロップ差8mmで転がる
公式値で前足部35.5mm。後足部43.5mmになっており、前後差で8mmドロップに。この8mmドロップが非常に強力で、自然と足が「コロン」と前に転がっていく。元々ミッドソール硬めでピッチを上げやすいシューズのため、一度スピードに乗ると楽に巡航できる。長い距離を走る競技において、省エネで走れることが有利になるのは言うまでもない。

ちょこっと『FF Turbo』の存在感
シューズ側面にデカデカとFF Turbo!!!っと記載があるにも関わらず、搭載されている量はちょこっとだけ。誇大広告では?と思ってしまうミッドソールであるが、前足部で着地&蹴り出しを行うと「確かにFF Turboある!」っと実感できる。明らかに前足部だけ硬度が違う。フォアフットランナーはスピードに乗りやすく、フォアフット走法に矯正したいと考えているランナーには着地場所を指南してくれる。エントリーカーボンシューズの立ち位置として、文句なしの性能。むしろ性能高すぎてサブ3も余裕なのでは?と思えてしまう。

耐久性を意識した『Asics Grip』
アウトソール材は『Asics Grip』を採用しているが、フラグシップモデルと素材が違い、グリップ力は控えめで厚みを増している。着地の度に「メリッバリッ」っと音を立てることはないが、必要十分なグリップ力は健在。加えて、練習用として耐久性を上げるために厚みが増しているポイントは高評価。アウトソール材が擦り切れるよりもミッドソール材の反発力が先に消耗するだろう。

気になる点
ミッドソールが硬め
ミッドソールの分厚さに反して、硬めの『FF Blast+』とカーボンプレートが相まって、設置感が硬い。先に省エネで走れると記載したが、長い距離を楽に走るにはこの硬さに慣れる必要がある。柔らかいシューズが好みの人には、間違いなく合わない。

マジックスピード4がオススメな人
個人的に購入して大満足してます。もっと早く買っておけば良かった…。マジックスピード4を履いている市民ランナーが多いのも納得できる性能。
オススメする人
・硬めのシューズが好みな人
・レースシューズがメタスピードパリシリーズの人
・サブ3前後でコスパの良いシューズを探している人
・ピッチ走法の人
オススメしない人
・柔らかいシューズが好みな人
・転がるシューズが苦手な人
・1キロ5分30秒より遅いペースで走る人
まとめ
総括:さすが俺たちのアシックス!コスパの鬼
日本企業って相変わらず余幅がすごいな。って改めて感じた。エントリーカーボンという立ち位置で発売しているが、どう考えてもエントリー以上のペースで走れるマジックなシューズ。それだけの余幅がありながら、他社メーカーと同じ価格で発売しているのだから、良心的というか、もはや奉仕価格という表現が正しいのかもしれない。

購入先リンク

おまけ
叩き売りが半端ない件
後継品である『マジックスピード5』の発売前に売り切ろうと各販売店で値引き合戦が熾烈。最安値で8,999円まで確認している。この性能のシューズが1万円を切る価格で叩き売りされている状況は凄すぎるので、まだ持っていない方は是非手に取ってみることを強く進める。後継品が出てもシューズ性能が落ちるわけじゃないですからね。
前作との比較
アッパーとミッドソールに大きな変更があり、比較対象にならないくらい別のシューズになった。蹴って走りたい人には前作のマジックスピード3を。ドロップ差を活かして楽に巡航したい人はマジックスピード4がオススメ。個人的にはどっちも好き。という歯切れの悪い回答になるが、両者に共通しているのは、しっかりとグリップしてくれるシューズである。ということで、個人的にグリップ力を重視しているのだと再認識した。

フラグシップモデルと比較
メタスピードパリシリーズと同等のミッドソール形状をしており、当時のアシックスではこの形状が最適解であったことを印象付ける。定価で1万円ほど価格差があるにも関わらず、フラグシップモデルの意匠を継いでいるのはポイント高い。とはいえ、採用されている素材が全く違うため、反発力などの性能は大きく変わる。ただ、ピッチを上げやすいシューズという共通点は同じ。サブ3を目指している私レベルの感覚としては、マジックスピード4は4分20秒前後。メタスピードパリシリーズは4分前後で着用したい。コスパよくサブ3を目指すのであればマジックスピード4で十分な性能を持っている。

ズームフライ6と比較
同じ立ち位置で価格も同額のため、バチバチに競い合っている2足。見極めポイントとしては、柔らかいシューズが好きな人はズームフライ6を。硬めのシューズが好きな人はマジックスピード4を選ぶのがオススメ。明らかにミッドソールの硬度が違う。またスピードの出しやすさは両者ほぼ同じであるが、出し方が違う。ストライド走法の人はズームフライ6を。ピッチ走法の人はマジックスピード4を選ぶと走りやすいと感じるはず。



