薄底シューズより軽い厚底シューズってどういうこと!? 運良く店頭抽選に当選したため購入レビュー。
メタスピードレイ(METASPEED RAY)について
『メタスピードレイ』は数量限定で抽選発売された最軽量レーシングシューズ。アシックスの過去最軽量レーシングシューズは『ソーティーマジック RP6』の26.5cmで145gであったのに対して、今作の『メタスピードレイ』は27.0cmで129g。自社の最軽量シューズ記録を超えてきた。加えて、厚底シューズでこの重量を実現してきた化け物っぷり。軽さを最大の売りとして登場してきたこのシューズ。気にならない訳がない。

シューズ外観
側面
アッパーは『MATRYX』と呼ばれる新素材を採用。メタスピード+シリーズで採用されていた初代モーションラップアッパーに似たパリッとした質感。カラーリングはプロトタイプを彷彿とさせる白黒デザインでオシャレ。



背面
軽量性を重視し反射材などの装飾は一切なし。また踵部のミッドソール材は必要最低限まで削ぎ落とされている。


靴底
アウトソール材は『ASICS GRIP』を採用。強力なグリップ力で定評があり、雨など路面の影響を受けずパワーロスなく推進力を活かせる。

重量
28cm/134g
今作の目玉である軽量性はやはり衝撃的。薄底シューズを超える軽さを厚底で実現するってどういうこと…。他社追従を許さない圧倒的な軽量性に天晴れ。

各社最軽量レーシングシューズ (27cm) | メタスピード レイ | アディゼロ PRO EVO2 | FAST-R NITRO ELITE 3 | ヴェイパーフライ4 |
重量 (公式値) | 129g | 138g | 170g | 171g |
価格
定価:33,000(税込)
高いけど安い。昨今のレーシングシューズ平均価格が3万円弱であることを踏まえると、若干高い価格設定であるが、軽量性を売りにしている競合の『アディゼロ PRO EVO2』が8.2万円と考えると良心価格すぎて、もはや安い。数量限定発売の理由は利益率が低いからなのか?と勘繰ってしまうレベル。
各社最軽量レーシングシューズ | メタスピード レイ | アディゼロ PRO EVO2 | FAST-R NITRO ELITE 3 | ヴェイパーフライ4 |
定価 (税込) | 33,000円 | 82,500円 | 38,500円 | 29,700円 |
サイズ感
ハーフサイズアップがオススメ。
普段のジョグシューズは27.5cmであるが、レースシューズはハーフサイズアップが恒例になっている。
♦︎参考:他購入済みシューズサイズ
ノヴァブラスト4&5→27.5cm
ゲルニンバス26&27→27.5cm
メタスピードパリ&東京→28.0cm
ヴェイパーフライ4→28.0cm
ファーストインプレッション
軽い!が、メタスピ東京シリーズが十分に軽すぎて感動は少し弱いかも…。安定感もシューズ中央にあるプレートが軸になり悪くない。ただ転がる感覚はなくストライド向けシューズ?と思ったが反発力が弱め。これどの層に刺さるんだ…?っというのが初感。
性能そのままで軽量性を上げました!という夢のシューズ性能を期待していただけに肩透かしを食らった。ピッチ向けには転がるメタスピエッジ東京がオススメだし。ストライド向けには反発力の強いメタスピスカイ東京がオススメ。まさに公式サイト通りの感想になった。であれば軽量性を強調するこのシューズはどこで使えばいいんだ…?どっちつかずの中間シューズと言いますか、厳しく言うと軽量性特化で性能中途半端なシューズだと感じた。

クッション性能について

MAXレベル。
現状で唯一フルレングス採用された『FF Leap』がとても柔らかく、履いて立つとシューズが自然と沈み込む。だが、底付きすることはなく、地面を感じさせない厚底シューズに仕上がっている。クッション感はマシュマロのように柔らかいが潰れきらず、芯にある弾力で反発を生み出してくれる。

【徹底解剖】シューズの特徴
軽量性
軽量に対する力の入れ方が半端じゃない。
シューレース(靴紐)の先端プラスチックまでこだわっているシューズは初めて見た。

インソールを外すと見えるカーボンプレートは最小限。(黒い箇所のみ)

アウトソール材は薄く、ツルッとしている。加えて、つま先部分はカット。


メタスピード東京シリーズでは貼り付けだった『TOKYO』文字もプリントされる徹底っぷり。

メタスピード東京シリーズに比べて、ヒールカップ周りに迫り出したミッドソール材はなく、安定感よりも軽量性を優先していることが窺える。

フィット感は違和感なし
軽量性を追求するとフィット感が犠牲になりがちであるが、さすがはアシックス。違和感はなくトラブルになる未来が見えない。ただ、アッパーはパリッとした素材感であるため好き嫌いは別れるかも。個人的には力が逃げず、通気性と撥水性が抜群なため好き。


インソールが分厚い
従来のメタスピードシリーズはインソール着脱不可であったが、本製品はインソールを取り出すことが出来る。取り出してみると分厚さに驚く。

ただ、インソールが分厚く有名な『クラウドブームストライク』と比較してみると、さすがに控えめだった。


気になる点
反発力が弱い
軽量性重視のため、カーボンプレートが先端まで搭載されておらず最後の蹴り出しにおける推進力が弱い。そのためストライドを伸ばすには少々苦労する。では軽量性を活かしてピッチ走法が合うのか?と試してみるも、ロッカー構造のように前に倒れ込む感覚はなく『メタスピードエッジ東京』の方が楽に走れる。自社内での競合シューズが強すぎるあまり、立ち位置がスカイとエッジのちょうど中間に。軽量性が正義となるレースでのみ優位性を発揮できるシューズ。


メタスピードレイがオススメな人
個人的には購入でき満足しているが、抽選に当たった満足感が大半っというのが正直なところ。スピード練習にはスカイを使いたいし、マラソンペースならエッジを使う。であればレイはどこで使えば…。っという状態。
オススメする人
・1gでも軽いシューズを好む人
・とにかく柔らかいレースシューズを履きたい人
オススメしない人
・強い反発を好む人(スカイをどうぞ)
・転がるシューズを好む人(エッジをどうぞ)
まとめ
総括:軽量性特化。性能中途半端。
物凄い企業努力を感じるシューズに辛口コメントするのは流石に心が痛むが、忖度なしに申し上げるとこうなった。東京世界陸上男子マラソン3位の方がこのシューズを着用していたが、全体を見渡してみると『メタスピード東京シリーズ』が多かった印象。アディダスの『EVO2』のように『アディオスPRO4』の完全上位互換シューズになるかと期待していたが、スカイとエッジに被らない絶妙な塩梅で発売された。1gでも軽いシューズを探している人にはマッチすると思うが、私は良い使い道を見出すことができない状況にいる…。
メタスピード東京シリーズが気になる方は↓記事もどうぞ。
おまけ
オンライン抽選にハズレ、店頭抽選に当選したため大阪まで購入しに行きました。せっかくなので店頭で『メタスピードレイ』の入荷状況について聞いてみた。


全サイズ合わせて何足くらい入荷してますか?

50足くらいですね〜
元々通常販売予定だったんですが、オンラインでの申込数が凄かったので、店頭も急遽抽選販売になったんですよ〜。
とのこと。全サイズ合わせて50足の入荷が多いのか少ないのかは判断できませんが、ランナー人口に対して供給量が少ないのは間違いない。
手に入らない物ほど欲しくなる気持ちはよーーーくわかりますが、先のレビュー通り、軽量性を重視するランナー以外は無理して手に入れる必要性も薄い。っと思います。そのためマラソンシーズンまでにメタスピ東京シリーズを確実に入手しておくことを強く進めます。(シーズンになると昨年みたいに転売の嵐になるかもなので…)