アディゼロジャパン9が発売された今、旧作の8を購入した理由から使用感までレビュー。
アディゼロジャパンについて
アディゼロシリーズは「日本人を速くする」という目標の下、「ゼロからの挑戦」をコンセプトに開発が始められたシリーズ。その中で『アディゼロジャパン』は設置感を重要視したトレーニングモデルとしてラインナップ。日本では『アディゼロジャパン』という名で販売されているが、海外では『アディゼロアディオス』という名称で販売されている。昨今薄底シューズが減ってきている中で設置感を重視したトレーニングシューズは何が良いのか?解説して行く。
外観
側面
昨今の厚底シューズと違い、ミッドソールが薄め。前足部には『Lightstrike Pro』。中足部から後足部にかけては『Lightstrike 2.0』が採用されている。
背面
アディゼロシリーズでお馴染みの折りたたみ式プルストラップを採用。反射材などはなし。また軽量化のためにミッドソール中央部がくり抜かれていることが見て取れる。
靴底
コンチネンタルラバーを贅沢に採用。緑色は『ENERGYTORSION ROD 2.0』を搭載し、着地時の捻れ防止や、蹴り出し時のパワーアップに貢献する。
重量
28cm/225g
手に取っても軽く感じる。薄底シューズの特徴でもある軽快さをしっかりと活かせる作りになっている。
価格とサイズ感
定価:13,200円(税込)
安い!シューズも値上がり傾向にある中でこの価格帯は手に取りやすい。セール時にはポイント還元込みで1万円を切る時もあるため要チェック。
サイズ感:幅狭な方は通常サイズでOK。幅広な方はハーフサイズアップがオススメ。
詳細は後述する【気になる点:フィット感】で解説。他シューズとの比較は下記を参考に。
ファーストインプレッション
アディダスの中では薄底の分類だが、シューズ業界全体を見ると中底という言い方がマッチしているな。中足部以降の『Lightstrike 2.0』で着地すると硬いが、前足部の『Lightstrike Pro』で着地すると柔らかく強い反発が貰える。狙い通り!というのが初感。
なぜ今、旧作を購入したのか?
前足部と後足部でミッドソールが二層に別れる構造からフォアフット着地の練習に最適なシューズであると考えているため。もちろん通常のシューズでもフォアフット着地の練習は行えるが、このシューズであれば中足部以降で着地した場合は硬く反発が貰いにくい。反面、前足部で着地した場合は柔らかく反発が貰えるというわかりやすい特徴から、走りながら嫌でも意識することが出来る。また疲れてきた時に楽して走るには前足部で着地する必要があり、フォアフットの矯正を行うには良いシューズであると考える。私も『ジャパン9』の発売を楽しみに待っていたが、全く違うシューズになってしまったため急ぎ旧作を購入したという訳。
クッション性能について
LOWレベル。薄底に近い感覚で走れるが、着地衝撃は優しく中底という言い方が合致する。
他シューズとのクッションレベル比較は↓を参考に。
【徹底解剖】シューズの特徴
アディゼロジャパン8の特徴は『着地感覚を掴めるミッドソール』と『滑らない靴底』の2点。
着地感覚を掴めるミッドソール
昨今の厚底に比べ、地面を強く感じることが出来るシューズに仕上がっている。要因はミッドソール材が28mmと薄めであることに加え『ENERGYTORSION ROD 2.0』がシューズ全体の剛性を引き上げ、設置感を強化している。薄底に近い感覚で走れるが、着地衝撃は薄底シューズほど強くなく、足を守ってくれることから、薄底シューズと厚底シューズのいいとこ取りをした中底シューズだと感じる。平日のトレーニング時間が満足に取れない環境で良い刺激を与えてくれる。
滑らない靴底
個人的に気に入っている、滑らないアウトソール材『コンチネンタルラバー』を採用。濡れた路面など場所を選ばす安心して走ることができる。ただし、下記画像のような濡れた石畳の上では流石に滑るため注意が必要。
気になる点
フィット感は甲で合わせる
軽量化のためにヒールカップ周りのクッション材が削減されている。結果、シューズを足にフィットさせるには紐をしっかりと結び、甲周りでガッチリと固める必要がある。そのため足が幅広の方はワンサイズアップでフィット感を出しに行くのがオススメ。甲でしっかり固めた後に走り出すと違和感はないため安心して欲しい。
アッパーの素材が硬い
アッパーは『軽量メッシュアッパー』が採用されており、通気性や軽量性に貢献しているが、フィット感には貢献してくれない。また素材が硬く、足の形状に沿わないことからも、甲周りでフィット感を高めるしかない。
アディゼロジャパン8がオススメな人
個人的には、フォアフット矯正用シューズとして狙い通りの働きをしているため満足している。あと安いことも高評価。
適正ペース
薄底シューズに近い感覚で走れるため、ペースは自由自在に操れる。ただし『ENERGYTORSION ROD 2.0』は助力目的より剛性目的であるため、キロ4分近いペースになってくると『タクミセン10』や他厚底カーボンプレートシューズの方が楽に走れる。
オススメする人
・フォアフット着地の練習をしたい人
・基礎脚力強化を行いたいが、いきなり薄底シューズは怪我が怖い人
オススメしない人
・走り始めの初心者
まとめ
総括:フォアフット着地を習得したい方にオススメできるシューズ
昨今のレースシューズはフォアフット着地向けの商品も多く(メタスピードスカイパリなど)、メーカーもフォアフット着地ができる選手の力を最大限発揮出来るシューズ開発に着目している節がある。各メーカー世界記録は自社製品で達成して欲しいという強い想いがあるからこそ、尖ったシューズの発売がされている訳であるが、尖ったトレーニングモデルは少ないため、アディゼロジャパン8は貴重な存在だと思う。だからこそアディゼロジャパン9で尖った性能が失われたのは少し残念。
購入先リンク
【おまけ】他シューズ比較
ジャパン8 VS タクミセン10
全く違うシューズ。
1キロ4分以上:アディゼロジャパン8 (トレーニング用)
1キロ3分台:タクミセン10 (レース用)
の使い分けが良いと思う。
タクミセン10は5本指形状に沿った『ENERGYRODS』(グラスファイバー製)や『Lightstrike Pro』をフルレングスで搭載し、ジャパン8と比べ反発力が桁違いに強い。日頃から早いペースで走る方やレース用シューズをお探しの方はタクミセン10をオススメする。
ジャパン8 VS ターサーRP3
ターサーRP3の方が圧倒的に薄底シューズ。そのため基礎脚力強化という観点ではターサーRP3をオススメする。いきなり薄底シューズへの移行は怪我が心配な方や、フォアフット着地の練習目的の方はジャパン8をオススメする。またジャパン8の方が反発力が強くシューズの助力を感じることが出来る。